貧者の逆転

「贋金を作るんだ」Y子は言った。

私は絶句した「」

深夜Y子が、私の汚く狭いアパートの部屋へ持ち込んだ大袈裟な機械は(贋金製造機)であった。

しかし、どこか私は安堵していた。この極貧の生活から逃れられるかもしれない。私はもう何日も、ひよこ豆しか食べていない。

私とY子は、easy in and outな関係でしかないが、貧者という共通項がふたりを強く結んでいた。

かくして、贋金は作られた。

取り敢えず10億円。

しかし、これをマネーロンダリングしなければ安心して使えない。

我々はまず火星へ飛んだ。

贋金を10万円分、MARSドルに替える。

そして火星の中堅銀行『ELECTRO BANK』で口座を開設、10万MARSドル入金。

信用を得て、『ELECTRO BANK』のネット口座を開設。

数週間かけ、贋金を全てMARSドルに替えた。

雇ったエージェントに、スイス銀行の口座を開設させ、そこにMARSドルをUSドルに替えて10億円(およそ1000万ドル)を振り込んだ。

火星からアメリカのカリフォルニアへと戻った私達に待っていたのは、慎ましい暮らしだった。

私達は貧者だった。普通の生活がしたいだけなのに、安倍政権が日本の全てを壊したんだ。

1000万ドルあれば、アメリカで一生、慎ましく生きることができる。

私はY子を殺し、裏庭に埋めた。

著・看守B